歌舞伎初心者・必見!|坂東玉三郎「鷺娘」「日高川入相花王」シネマ歌舞伎

「和文化をもっと身近に楽しもう!」をキーワードに、和文化を身近に楽しむためのナビゲーター、天野です。

今回は、歌舞伎界を背負う人気看板役者・坂東玉三郎さんの代表作で、世界で大絶賛をあびたという伝説の演目「鷺娘」が「シネマ歌舞伎」で2023年6月9日(金)~15日(木)にかけて全国の映画館で上演されるということなので、ご紹介いたします!

歌舞伎好きの皆さんにはもちろんオススメですが、それに加えて

・歌舞伎に興味があるけれどもハードルが高い

・気楽に歌舞伎を楽しんでみたい

・着物でお出かけする場所を見つけたい

そんな方にも気軽に映画館で歌舞伎の世界が味わえる「シネマ歌舞伎」。

中でも、今回の演目となる「鷺娘」は、玉三郎さん自身、2009年の「さよなら歌舞伎座公演」での上演を最後に、今後は全編を踊ることはないとおっしゃっていましたので、全編を見ることができるというのは、シネマならではの魅力です。玉三郎さんファン、歌舞伎ファンの皆さんはもちろん、これから歌舞伎の世界に足を踏み入れてみたい!という初心者の皆さんにもお手軽に気軽に楽しめるオススメ歌舞伎です。

〇今回の目次〇

1.シネマ歌舞伎とは

2.「鷺娘(さぎむすめ)」のあらすじ

3.「鷺娘(さぎむすめ)」の見どころ

4.「日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)」のあらすじ

5.「日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)」の見どころ

6.さいごに

1.シネマ歌舞伎とは

シネマ歌舞伎は、歌舞伎や映像制作を行ってきた松竹が、歌舞伎の舞台公演をHDカメラで撮影し、全国の映画館で月に1回上映しているものです。

生の歌舞伎公演を観ているかのような臨場感もある一方で、シネマならではの俳優の表情のアップや衣装の細やかな刺繍などのアップなどもあり、単に舞台をそのまま流しているものではなく、松竹ならではの編集と見せ方で構成されているので、また新しい歌舞伎の楽しみ方ができると思います。

〇上映劇場〇

全国各地の映画館で上映されています。

栃木県では宇都宮市のMOVIX宇都宮、茨城県はMOVIXつくばで上映されます。

実際に劇場まで足を運ぶのは難しいという方にはオススメです。

〇上映期間〇

ひと月に1回、1週間程度上映されます。

(上映期間・内容は映画館等により変更となります)

今回は6月9日(金)~1週間程度の上映の映画館が多いようですが、東京の東劇などは比較的長めに上映されることが多いようです。

〇チケット購入〇

通常の映画のチケットと同じく、窓口もしくはネットにて購入することが可能です。

公開期間が短く、1日の上映時間も限られていることが多いので、最寄りの映画館の上映情報をきちんと事前にチェックすることがオススメです。

2.「鷺娘(さぎむすめ)」のあらすじ

水辺に佇む白無垢姿の娘。それは、人間に恋をしてしまった鷺の精。道ならぬ恋に苦しむ鷺の精が、人間の娘に姿を変えて、その一途な恋心を切々と伝えます。しかし、やはり最後は再び鷺の精に戻り、遂げられない恋に苦しみながら、しんしんと雪が降り積もる中、息絶えてしまうのでした。

3.「鷺娘(さぎむすめ)」の見どころ

一途な恋に悩む鷺の精、そして人間の娘になり、また鷺の精へと変わる変化を玉三郎さんお一人で演じていきます。人間国宝でもある玉三郎さん。舞台に演技が溶け込んで美しい日本画のようにも見える、その舞台の美しさは圧巻の一言です。

中でも、初心者の方にその見どころとして、特筆すべき箇所をまとめてみましたので、どうぞこんなところにも目を向けてお楽しみください♪

〇衣装の早変わり〇

最初は真っ白な衣装で登場します。その解釈も、花嫁衣装という解釈や、お葬式の衣装という解釈もあるそうです。そして、そこからどんどんとシーンに合わせた衣装への変化や帯の変化などが見ごたえたっぷりです。何回衣装が変わるのか・・・もお楽しみです。

〇傘の色と扱い〇

玉三郎マジックとも言えるような、上手な傘使いも見どころです。絹張りの透けて見える傘をはじめ、シーンによって傘の色も変わります。そして大変美しく軽やかな扱いにはうっとりさせられます。

〇玉三郎さんの表情〇

見ていれば、釘付けになってしまうかと思いますので、あえて言うまでもないかと思うのですが、玉三郎さんの寂しそうな表情は印象的です。許されぬ人間に恋をしてしまった鷺の精。そんな切ない物語を表情でも語られていきます。

〇玉三郎さんの舞〇

この鷺娘の衣装は、早変わりのために重ねられ、10キロ以上もの重さともいわれます。そうした重さの衣装を身にまといながらの玉三郎さんならではの妖艶で美しい、技術的にも高度な舞踊は圧巻です。鷺のような足の運びや首の動き、シネマならではの細かい所作までじっくり見られるのはシネマ歌舞伎ならではの魅力です。

〇クライマックス〇

物語の最後、許されない恋の終わり。世界で絶賛されるのがわかる美しさで幕を閉じます。心揺さぶられるクライマックスは、どうぞ目にしっかり焼き付けてくださいね。

4.「日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)」のあらすじ

こちらの作品は、人形浄瑠璃の芝居「渡し場の段」が歌舞伎化されたもの。

和歌山県日高郡日高川町の道成寺(どうじょうじ)の安珍清姫(あんちんきよひめ)伝説を題材とした作品です。

この場面は、清姫が自分の許嫁とされていたお坊さん、安珍(あんちん)が熊野参詣にやってきます。清姫は安珍への恋心を募らせていますが、実は、許嫁というのは、清姫の父親がついたウソでした。安珍は清姫の熱い想いを受け入れることができず、そそくさと宿を出ていってしまいます。それに気づいた清姫は、安珍を追いかけて日高川の渡し場までやってきます。清姫は早速、渡し船の船頭に、向こう岸に渡して欲しいと声をかけますが、すでに船頭は清姫が追いかけてきても船を出さないように安珍からお金までもらっていました。そんな状況に深く傷ついた清姫。怒りの炎は清姫の顔を鬼の形相へと変え、身体も蛇と変えながら、向こう岸まで泳ぎきるエネルギーを生み、清姫は向こう岸へと渡りきるのでした。

5.「日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)」の見どころ

実はこちらの作品、玉三郎さんが人形浄瑠璃の人形を演じています。手元や表情をはじめ、本当に浄瑠璃の人形のような可憐な動き。一方で、演じる清姫の結婚できると思っていた男の人に逃げられてしまうことが生んだ女の激しい情念。激しい気持ちに突き動かされて川を渡っていくその強く激しい気持ちの表現を楽しんでいただきたいです。

〇表情なく気持ちを伝える「人形ぶり」〇

歌舞伎マジックとも言える、人形の演技を「人形ぶり」と言います。人形ですから、表情を変えずに気持ちを演じなくてはなりません。顔を変えずに、手の動き、全身の動きで、あふれかえる清姫の想いを伝えていく技術には圧倒されます。玉三郎さん、まばたきもしているのか、疑ってしまうような演技です。

〇人形遣い役の菊之助さん〇

「人形振り」の玉三郎さんを操る人形遣い役(にんぎょうつかいやく)もちゃんといます。今回の「日高川入相花王」では、尾上菊之助さんが演じていらっしゃいます。人形遣いもまた表情を変えることができません。また、「人形ぶり」の最中は、玉三郎さんはせりふもしゃべりませんので「竹本(たけもと)」の語りで進行します。

〇市川九團次さんの船頭の「人形ぶり」〇

今度は男の人形です。女の人形と男の人形でもまた動きが全然違います。足は人形の足になっていますが、本物の足との関係がどうなっているのかも気になりますよね。興味がちゃんとありますので、見てみてくださいね。まゆの動きも、見ごたえがありますよ!

〇かしら・ガブ〇

人形浄瑠璃には、一瞬で突然怖い般若の面に変化するからくり人形があります。それをガブ、文楽の首(かしら)と言います。それが、こちらの「日高川入相花王」の演技でも出てきます。一度でなく、多分2回。一瞬で変わりますので、お見逃しなく!

〇川を泳ぎきる執念〇

川にザブンと飛び込んだあと、清姫の黒い振袖姿とヘビの姿とが入れ替わりながら、川を泳ぎ切っていくところは迫力満点です。波を表現する幕と川幅を感じさせる背景の変化、そしてその中を必死に泳いでいく清姫。また、対岸に渡り切ったあとの姿のなんともいえない表情をぜひともお楽しみください。

5.さいご

上演は約1時間とそんなに長くはないのですが、本当に見ごたえたっぷりです!圧巻の美しさの鷺娘、衝撃の人形振り。玉三郎さんの代表作、こちらの2作品、ご覧になってみてくださいね!

ちなみに、服装は映画館なので、普段着でOK!

ただ、着物をお召しになって映画に着ていらっしゃる方も♪着物をせっかくなら着ていきたい!そんな方は、着物でもOKです!

本当に見ごたえのある2作品。歌舞伎を見てみたい!という方にはとてもオススメです。どうぞ楽しんできてくださいね~!

❁❁❁ TOCHIGI 和文化ナビ ❁❁❁

 日本にはこんなにステキな文化があるのに、伝えきれていないのが現状です。

実際に体験して、素晴らしい文化・地元の文化を広めていきたいと思っています! 

【栃木和文化ナビ】では、「習いたい人」と「教えたい人」をつなげるプロジェクトを行っています。

和のお稽古にご興味ある方はこちらをご覧くださいませ。


栃木和文化ナビ

自分にあった茶道教室を探す

和のお稽古ごとを見つける


栃木県小山市・栃木市・下野市・壬生町・野木町・茨城県結城市・古河市・八千代町近隣の和文化の先生をされている方で、生徒さんを募集されたいけれど、あまりインターネットなどが分からないという先生方もぜひお問合せください。
あまのやは和文化の地域振興を応援しています!

お問合せ:栃木和文化ナビ掲載について

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: %E5%92%8C%E6%96%87%E5%8C%96%E3%83%90%E3%83%8A%E3%83%BC-1024x538.png

-